
2020年1月、突然発表された「東京事変 復活」のニュース。
約8年間にわたって休止していた東京事変の突然の復活に、皆さんも驚いたのではないでしょうか?
私が東京事変の曲を初めて聴いたのは中学生の頃でした。
その時、人生初のライブ参戦は東京事変しかない!と思ったくらい、
ビビビッと衝撃が走ったのを覚えています。
そんな東京事変のトップソングといえば、「能動的三分間」や「群青日和」などが有名だと思いますが、
実は東京事変の曲にはシングルカットされていない、知る人ぞ知る”隠れた名曲”がたくさんあるのをご存知でしょうか?
今回は、皆さんに是非聴いてもらいたい、「東京事変の隠れた名曲」を5曲厳選して紹介します!
目次
東京事変の隠れた名曲【厳選5選】
黄昏泣き (2006年、「大人」より)

1つ目は、2006年に発売されたアルバム”大人”より、「黄昏泣き」をセレクトしました。
皆さんは「黄昏泣き」って何なのか知っていますか?
お恥ずかしながら私はこの曲を初めて聴いた当初は知らなかったです・・・。
「黄昏泣き」とは別名”コリック”とも言われ、生後2週間をすぎた赤ちゃんが夕方になると特に原因もなく激しく泣きじゃくる現象のことを指しています。
黄昏泣きという言葉自体は赤ちゃんに起こる現象を指していますが、この曲が収録されているのは”大人”というアルバムです。
つまり黄昏泣き中の赤ん坊の世話をする母親の曲であることがわかりますね。
また、この黄昏泣きの曲調はゆったりとしたジャズテイストの曲となっていますが、
実際に聴いてみると優しい音色の重低音や、あえて和音で弾くのではなくアルペジオ(和音を1音ずつずらして弾く技法)をフレーズにちりばめることで、
どこか子守唄のような「安心するなあ」と感じさせる曲に仕上がっています。
夕陽の差し込む部屋で、泣きじゃくる赤ん坊を優しくあやす母親の姿が想像できる。
そんな曲だと思います。また、後半部分では
「 こうして、黄昏泣きをする貴方をあやす時間はあとどれくらいなんだろう」
という心情がとても伝わってくるような歌詞が綴られています。
子供が自分の元から巣立っていくその日を想像し、今は腕の中に抱かれた我が子を愛しんでいる・・・。
成長を楽しみと思う心もあるけれど、泣いている貴方をあやすこの時間はきっと一瞬で過ぎ去ってしまう。
幸せだけれど、何だか切ない。実際に母親である椎名林檎さんはそんな心情をこの曲に込めて作ったのではないでしょうか。
この「黄昏泣き」はそんな親の愛が詰まった一曲となっています。
ブラックアウト(2006年、「大人」より)

こちらは先ほどの曲とは一転、乾いたドラムが疾走感を出しつつサビはハンドクラップが効いたラテン系の曲調となっています。
1番の歌詞から、
「せっかく冬も過ぎて暖かくなったのに、終電で帰っちゃうなんてもったいない」
「もっと酔わせて。忙しない日常を今日は忘れたいの。貴方に酔っていたい。」
といったような女の心情を綴った歌であることがわかりますよね。
この曲で個人的に一番聴いて欲しいのは、最後のフレーズ。
ココ、震え声のような、笑い声のような感じで歌っているのがわかるでしょうか・・・?
こういったまるで話しているみたいな表現が椎名林檎さんって本当に上手いなと思うんですよね!
ゾクっとさせられた、わたしが大好きな一曲です。
御祭騒ぎ(2004年、「教育」より)

これこれ!!東京事変って感じ!!!!
わたしこの曲大好きなんですよ!
と、いうのも。
この曲が収録されている「教育」というアルバムに同じく収録されている”入水願い”という曲があるのですが、
「入水願い」という曲は今回ピックアップした「御祭騒ぎ」の対になっている曲なんですよね。
入水願いが”死”について歌った曲であるのに対し、御祭騒ぎは”生”について歌われています。
アルバムの中で一つの物語を完成させちゃう、そんなところも粋すぎて好き〜!って感じです(笑)
さて、「御祭騒ぎ」の曲紹介に戻りますが、
この曲は曲の入りが何ともちょっと不気味な感じ。この感じ、何を表現しているかというと・・・
お祭りって元々日本で祀られている神を労う・称えるといった伝統的行事ですよね。
それだけ聞くとちょっとアヤシイ感じ、しませんか?
「御祭騒ぎ」は、このお祭りのちょっと怪しい雰囲気をバックの演奏やエフェクトを上手に使って醸し出しているんですよね。
さらに、Aメロはボーカルに籠もった機械音みたいなエフェクトがかかっているのですが、
Bメロ〜サビにかけてはエフェクトがスカッと取れて、聴き手が思わず「あー!楽しいー!」と思うような曲になっています。
神秘的だけどキラキラしたお祭りを純粋に楽しんでいる!という情景が鮮明に浮かんでくる、
聴いていて思わずリズムをとってしまうような楽しい一曲です。
落日(2005年、「修羅場」より)

先ほどの「御祭騒ぎ」が”生”について歌った曲だったことにちなんで、同じく”生”について歌っている「落日」をあげたいと思います。
この曲は少し解釈が難しいのですが、私は”大切なひとを亡くしてしまう瞬間”を歌った曲であると考察します。
東京事変の曲では珍しい、エフェクトも何もかかっていない純粋なピアノの音色から始まるこの曲。
偶然巡り合い、”大切な人”となったあなた。
ですが「ずっと一緒にいたい」という望み虚しく、あなたとお別れする時間が来てしまった。
このようなシチュエーション、きっとどんな人でも必ず経験しますよね。
親、恋人、友人・・・。相手が誰であろうと、必ず人間には”最期のお別れ”が来てしまう。
しかし、この曲の最後では”そんな悲しい気持ちは今日までにして、今後は笑って過ごそう”
という前向きな意思を感じる曲となっています。
私は祖母を病気で亡くした際にこの曲に巡り合ったのですが、
「最後のお別れは誰にでもくる。自分はその分精一杯生きて。さあ、もう笑おうよ」
と、この曲に背中を押してもらったような気がします。
私が今でもとても大切に聴いている曲です。
スイートスポット(2010年、「スポーツ」より)

2010年に発売された「スポーツ」というアルバムに収録されたこの曲。
こちらは今まで紹介した曲とは違い、歌詞が全て英語で書かれています。
かつ、ここに来て初めてのR&B調の曲となっています。
東京事変でここまではっきりR&B調な曲って珍しいような気がします。
この曲でいう”スイートスポット”って何のことかというと・・・。
まずこの曲が収録されているアルバムが「スポーツ」ということもあり、
一見すると野球やラケットを使う競技でいうボールを打つのに最適な打点のことを連想する方も多いかもしれません。
しかしこの曲の主人公はスポーツ選手ではなく、「女性」であることが歌詞から分かります。
そう、この曲の意味する”スイートスポット”とは、女性にとって気持ちイイ最適スポットのことを指しています。
こんなにいやらしさも無く比喩表現のできる椎名林檎さん、本当に言葉あそびがうますぎますよね・・・。
つまりこの「スイートスポット」という曲は、体の関係だけの男女の”女性側の目線で語られた物語”であることが分かります。
「貴方なしでは切なくて疼いてしまう」といったやめなきゃいけないけどやめれない、
そんなもどかしさと切なさが伝わってくる一曲となっています。
こういった経験をされた方ならかなり共感できる曲だなあ、と思います。
まとめ

今回は「東京事変の隠れた名曲」について5曲に厳選して紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
遊び心満載のポップでキャッチーな曲から、思わず感動して涙してしまうようなバラードソングまで、
1つのバンドでこんなにも多様性のある音楽を生み出す”東京事変”。
2020年の復活を機にこれからもどんどん日本の音楽界を盛り上げていってほしいですね!