「人権作文に取りかかりたいけど、いいテーマが思いつかない……」
あまり意識したことのない人権の題材では、なにを書けばいいのか分からなくなりがちです。
そこで今回は、中学〜高校生が取り組みやすいテーマ例を紹介していきました。
最近の受賞作品のジャンルに沿った内容なので、オリジナルのネタを扱いたい方は必見です。
書きやすい人権作文のテーマ
いじめ
近年の人権作文において、いちばん多く題材としてとりあげられているのが「いじめ」に関する問題。
身近な問題であり、受賞作品では最も多いジャンルです。
人に悪口を言うことで誹謗中傷させる「言葉の暴力」はもちろん、人間関係や仲間内で差別をすることをテーマにしたものがほとんどですね。
いじめといってもいろんなテーマがあるので、一部を紹介します。
LINEによるいじめ被害から考えてみる
最近では、インターネットを使ったいじめ問題が増えています。
特に多いのが、LINEを使ったグループでの孤立や暴言。
スマホを使ったグループや長電話など、プライベートでも人と繋がることが多くなったことによる影響です。
- 友達と合わせないと、関係を壊してしまう
- 素早く反応しないと、次の日にイヤミを言われてしまう
「一人でいる時間」が少なくなったことを、ストレスに感じる人も多いのではないでしょうか?
インターネットの無い昔との比較を含め、情報化した社会と人権のあり方について注目するといいかもしれません。
東日本大震災によるいじめも
2011年のときに起きた「東日本大震災」。
原発事故があった地域から引っ越してきた人を差別し、孤立させるいじめが問題となった時期がありました。
テレビや新聞などのメディアが原発事故による風評被害を広げたことで、なんとなく悪いイメージを擦り込まれてしまったんですよね。
野菜や果物などの農産物だけではなく、人間の作り出した機械で「人権まで」脅かされてしまう……
すでに年月は経っていますが、これからくると言われている
- 首都直下型地震
- 南海トラフ地震
に置き換えて書いていくと、オリジナリティが出るのでオススメです。
障害者
人権とは切っても切れない関係、障害者問題。
盲導犬や車椅子といった身近なテーマから、パラリンピックで活躍する人まで、幅広い視点からチェックできるネタです。
個人的に狙いやすいと思うものを、2つ紹介します。
オリンピックと国際問題を合わせてみる
2020年の東京オリンピック開催が近づくにつれて、人権作文でもメガスポーツの話題を取りあげる人が増えています。
オリンピックは時代を映す鏡。
現代でこそ差別禁止の風潮が強くなっていますが、つい100年ほど前までは黒人アスリート・植民地に対する不公平な扱いなど、問題は山積みでした。
現代ではどれだけ改善されており、それでも残っている問題があるのかを迫ってみましょう。
また、個人的にオススメなネタは「サプライチェーン問題」。
日本語では「供給連鎖」といい、
・商品の製造
・各地への配送
・店での販売
・私たちの消費
といった一連の流れを表した言葉です。
オリンピックが開催されると、海外からは貿易や国交などの状況注目が集まります。
資源のない日本がいかに安く仕入れるか、海外と不正な取引をしていないかチェックされる立場となるんですよね。
例えば、グローバル・ウィットネス(GW)という大手の国際NGOが、特にマレーシアのサラワク州で違法伐採された材木を日本企業が多く購買している実態を指摘しています。
世界第4位の木材輸入国であるにも関わらず、G7で違法伐採されたものの輸入を明確に禁止していないのは日本だけで、企業による自主的な試みも効果的ではないとGWが分析しています。
経済力を盾に、人権問題にも発展する可能性だってあります。
時期的なネタとして、取り入れてみるのもいいかもしれません。
ユニバーサルデザインをスマホと合わせてみる
オリンピックと関連して、すべての人に使えるよう設計されたユニバーサルデザインのネタもオススメ。
例えば、現代なら誰でも使っているスマホ。
連絡を取ったりするのに便利なツールですが、目が見えない人にとっては全く使い物にならない機械ですよね。
ツルツルした画面を目で確認しなければ、ほぼ全ての操作をすることができなくなります。
どんな機能をつければ、目の不自由な人でも使えるか考えてみましょう。
それだけでも、オリジナルな題材となります。
戦争
国際問題から発展する「戦争」も、人権とからめやすいテーマの一つ。
世界の貧困や難民、拉致被害などのネタを中心に狙っていきましょう。
「戦争と平和」はセットで書くべき
もし戦争を書くのであれば、必ず平和をからめた内容で作文していきましょう。
その理由は、実際に体験したことを書いたほうが説得力のある文章となるため。
現代の学生で戦争そのものを経験したことのある人は、たぶんいませんよね(´・ω・`)
日本は平和な国ですから、戦争そのものをイメージすることが難しい……と言う人も多いはずです。
あまりいい例ではないかもしれませんが、近年問題になっているブラック企業、長時間労働は、貧困・治安の悪い国で問題視されることがありません。
明日の暮らしや食べることなど「生きるため」に全力なので、そのようなことを気にかけている場合ではないんです。
「戦争の裏には平和がある」というイメージを持ちながら、いまの暮らしがどれだけ恵まれているのかを書いていくと、締まりのいい作品ができます。
スポンサーリンク差別
人権のイメージとしてまず浮かんでくるのは、男女や外国人などに対する差別問題。
みんな平等に接することができればいいんでしょうけど、未だに偏見が根強く残っているのはなぜでしょうか?
「暗黙のルール」として世の中にただよっている風潮に切り込んでいくと、独自の意見として展開しやすいと思います。
海外の人種の違いについて
個人的には、海外の人種と合わせて作文していくのはオススメしません。
体験談として書けることが少ないので、知識をしっかり落とし込んでないと、薄っぺらい内容となって終わるためです。
それでも海外の人種について書く場合、「なぜ格差が広まったのか」という視点から迫ってみるといいですね。
・経済的な格差が始まったキッカケってなんなんだろう?
・差別をしてしまう気持ちはどこから出てくるのか?
上記のように、自分の考えがベースになるような構成で進めてみましょう。
ちなみに、もし「日本に引っ越してきた外国人」や「自分がハーフ」という立場であれば、自分の体験をとおした人権作文にチャレンジしてみるといいかもしれません。
近年は「LGBT」や「セクシャル・マイノリティ」にも注目が集まっている
また、最近はLGBTや性同一性障害など「性」にまつわるネタの話題が多くなりました。
セクシャルマイノリティ:性的少数派
人種や民族などの外見的なものと違い、その人の思考や在り方などの内面的な要素が強いため、「見えない差別」として問題になることがあります。
例えば、男性同士・女性同士で結婚する同性婚。
G7に加入している国において、法的に同性婚が認められていないのは日本だけです。
その理由は、憲法において「両性の合意」によって婚姻が定められているため。
第二十四条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
価値観の多様化している現代と、それについていけてない憲法。
少しキレのある意見も述べてみるのもいいですね。
犯罪被害者のプライバシー
差別という点では、ニュースにおける犯罪被害者の扱いについて作文してみるのもいいかもしれません。
未成年者の犯罪では名前が公表されず、被害者の名前や住まいなどが取り上げられることがほとんど。
これでは「加害者が守られて、被害者ばかり追撃を受けている」状況ととらえられても仕方ありません。
最近は世間の批判が大きくなっているので、メディアも控えるようにはなってきましたが、それでもネットを通して拡散される二次被害が増えています。
どのようにすれば被害を最小限に抑えられるのか、自分なりの考えをまとめてみるとオリジナリティが出ます。
環境問題
人権とは少し離れた話題ですが、環境問題と合わせたテーマは扱いやすいです。
公害による病気は「国から受けた人権侵害」であり、学校でも習うことから書いてくる人が多いですね。
今でも水俣病で苦しむ人がいる
4大公害病の一つに数えられている「新潟水俣病」は、国の病気と認められて50数年が経過しています。
すでに国と被害者との和解は成立しているものの、体の異常に悩んだり、身体的な理由から会社をクビになったりする差別が消えてないのが実情です。
地元ではどのような公害があったのか、もし存在したのなら今でも人権被害に遭っている人はいないのかを調べてみると、見えてくるものがあるかもしれません。
高齢者問題
今後、少子化と並んで深刻な問題となるのが高齢化。
もし人権とからめて狙っていくなら、孤独死の問題に注目してみましょう。
孤独死にまつわる支援の話題
例えば、東京都足立区では「孤立ゼロプロジェクト推進活動」を行なっています。
これは、高齢者から自発的にサービスを求めるのではなく、自治会やボランティアが家に訪問し、世帯の調査をするものです。
必要に応じて介護などのケアにつなげることもできますから、孤独死を避け、人権を守ることとなります。
高齢者向けの独自なサービスがあれば、サラッと調べてみましょう。
書きやすそうなネタから情報を集めてみよう!
人権作文ではなにを書けばいいのか、テーマ例を紹介していきました。
ここで挙げたジャンルは、どれも過去に入賞したことのあるものばかり。
「この経験は自分にしかない」というものと一緒に、積極的に狙っていきましょう!