日本人の「ことわざ」や「四字熟語」は、古代の中国の言葉からきているものも少なくありません。

特に、嫁姑問題や職場など「人間関係」で、悩んでいる方にオススメなのが、四書五経です。

あまり漢字や文学に詳しくなくても、じつは意外と簡単。

今回は『四書五経』について、分かりやすくまとめてみました。

「漢文」という壁をスルッと乗り越えて、「古(いにしえ)の世界」を覗いてみましょう。

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そもそも「四書五経」とは?

まず、四書五経とは「四つの書」と「五つの経」の総称。

以下に示す作品をひっくるめて、このように表します。

四書
『大学』『中庸』『孟子』『論語』
五経
『詩経』『書経』『礼記』『易経』『春秋』

早くも漢字ばかりでクラクラしそうですが、ひとつひとつ見てみましょう。

それぞれ内容を見ていきましょう。

『大学』

「大学で何を学ぶの?」「どんなふうに過ごしたらいいの?」といった学問のバイブルが書かれているのが、大学。

今の日本で行われている大学教育にも、当てはまることがたくさん散りばめられているのがポイントですね。

そもそも「大学」という言葉は、紀元前の中国で生まれました。

大学受験を考えている人たちにもおススメしたい一冊です。

『中庸』(ちゅうよう)

中庸とは「喜怒哀楽」の真ん中にある穏やかな状態のことをいい、なんとなく中性のようなイメージとなる意味です。

よく大学とセットになっていることが多いですが、要は「こころのギアをいつも真ん中にしておきましょう」といった感じになります。

ただ、これが意外と難しいんです。

今日はちょっと怒りすぎたな……とか、調子に乗りすぎた……なんて反省ばかりしてしまうと、疲れてしまいますよね。

ですから、

・今日は穏やかでいられたな
・ちょっとしたことにもイライラしなかった

そのように自分を褒めてあげられると、気持ちも軽くなるでしょう。

ちなみに、食べ物の分類でも「陽性」(ナトリウムの多いもの)・「陰性」(カリウムの多いもの)の中間で、この『中庸』を使うことがあります。

『孟子』(もうし)

孟子といえば、性善説

「性悪説」を唱えた荀子(じゅんし)と対比して、用いられることが多いですね。

性善説の内容を一文でまとめるなら、

もともと人は、生まれた時は山奥から湧き出る清水のようなもの

ということ。

濁った水が混ざれば混ざるほど、元からある水は濁ってしまいますよね?

人間は”生まれてから”の事象が原因で、心が歪んでしまうとするのが、この説です。

反対に、性悪説は

生まれた時から水の中に不純物はあって、それを取り除いたり、それ以上濁らないようにしよう

という考え。

もともと全ての人間は濁っているから、「”生まれた後”の考え方を変えていこう!」とするのが、この説です。

性悪説は、秦の始皇帝に好まれ、法治国家は彼の影響が強いと言われています。

『論語』

ご存知の方も多い、『子曰く……』の多く含まれる本。

「道徳」の本ともいえますね。

要は

「みんな仲良くしましょう」

と説いているもので、孔子の死後、弟子たちが彼の言葉をまとめた書物として発表しました。

なので、本人の書いたものではありません。

ちなみに「子」以外にも、彼の呼び名はいろいろあり、『孔子・孔丘(こうきゅう)・仲尼(ちゅうじ)・丘(きゅう)』などなど。

『論語』以外の書物にも彼の名前は出てくるので、これらがついているときは「あ、孔子のことだな」と思ってください。

お弟子さんの数は3000人とも言われ、74歳で死去とご長寿だっだので、いろいろ呼び名があったんです。

 

『詩経』

詩経とは、殷・周王朝時代から春秋時代にわたって、地方の民衆の『詩』(うた)を集めたもの。

その後、紀元前480年頃に『孔子』によってまとめられ、「詩」とあるように、四文字の漢字(四句)の並びや、五文字(五字句)、七字句・三字句からできる歌となりました。

当時は天子(王)が民衆の思っていることを感じとるために行われていましたが、今では当時の人々の暮らしを垣間見ることのできる、貴重な資料となったのです。

「バッタ」や「ハコベ」、「こぐま座」など、植物や動物の名前も歌詞にあり、およそ2000年前の人たちと同じものを見ているなんて、なんとも不思議な感じがしてきます。

『書経』

書経とは、政治や祭事の政(まつりごと)を書いた「書」のこと。

主に堯、舜、夏、殷、周時代のことが記されており、殷で紀元前1600年頃と言われています。

それ以前の堯、舜、夏は「神話」とも言われるので、とても古い書物なのが分かりますよね。

著者については諸説あり、現状だと

「書」自体はそもそも存在しており、『孔子』が編さんして、『書経』と呼ばれるようになった説

が有力。

また、「日本の元号」は『書経』からも用いられていることでも、身近なものです。

「昭和」・・・「百姓昭明なり、万邦を協和せしむ」の意味から
「平成」・・・「地平らかに天成り」を引いた意味から

ちなみに、「明治」と「大正」は『易経』から採用されています。

元号は来年から新しくなるので、どんな書物から用いられるか注目したいところですね。

『礼記』(らいき)

礼記とは「礼」について集められた古い書物で、『大学』『中庸』はもともとこの『礼記』の中にあったものを、抜き出したものとなっています。

政治、倫理、宗教、祭事などいろいろな「礼」を、49編にもわたって記されているんです。

なので、内容は

大学+中庸

と覚えておけばOKでしょう。

『易経』(えききょう)

易経とは古(いにしえ)の「占い」を中心に構成された書物。

占いにとどまらず、自然や春夏秋冬を含めた「宇宙」を通して「先を見通すこと」や「道理」がまとめられたものでもあります。

「占い」から「道理」まで内容はとても広く、「善く易おさむる者は占わず(易経を学べば占う必要もない)」と『荀子』の言葉が遺されているほどです。

『孔子』は晩年この『易経』を学んで過ごしており、3000人といわれる弟子を連れていた彼ですが、最後に行きついたのは『易経』だったということになります。

日本では上記の中でも本の出版やセミナーも盛んで、子供向けに作られているものもあります。

実際に触れてみると、「新しい発見」につながるかもしれませんね。

『春秋』

春秋とは、魯の国の「隠公」から「哀公」で起きた出来事を、孔子がまとめたもの。

これまでとは少し趣が違います。

それまで魯は”礼や徳を重んじる国”として成り立っていましたが、孔子は生まれた頃には腐敗が目立ちはじめていました。

魯の国を出る決意をして旅をし、その後37歳(43歳の説も)に斉から帰還。

「春秋・戦国時代」はこの頃のことを指しており、その内容が詰まっているのです。

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どういうときに読むべき?

このように「四書五経」といっても、いろいろなタイプがあるので、「多すぎて生活に取り入れるなんて無理……」と捉えがち。

ですが、こちらも難しく考えることはなく、むしろ内容を理解するより簡単です。

例えば「職場関係」に置きかえてみると、

「あの上司は言ってることがめちゃくちゃだ」
「あの後輩は仕事ができない」

なんて愚痴を聞かされ、相手の反応が気になって、人間関係に悩む人も少なくないと思います。

ここで「孔子」はこんなことを言っています。

「下には親しまれ、同世代や友人には信頼され、上からは安心されるのがいいね」

「上に言われて嫌なことは下にしないものだよ。上にされて嫌だったことは下にはしないことだよ」

実際に言葉ではっきり言われてしまうと、「なるほど」と感じる部分がありますよね。

また、こうも言っています。

「才能ある人は褒めたたえ、だめな人物には思いやって優しくすることだよ。それが皆を和ませて(いづれ回りまわって噂となり)自分の徳(価値)を上げることに繋がるよ」

こんな風に、「視野をもっと広げよう」「ゴールはもっとその先にあるよ」とちょっとしたヒントが見つかるわけです。

また、嫁姑問題で悩んでいる人には”うってつけ”。

「こんなにしてあげたのに電話もよこさないなんて!プンプン!!」となっている人、もしくはされている人には、『論語』がおすすめです。

・礼儀正しくしなさい
・仁義にかける
・徳がない

など耳にしたこともありますが、そもそも「礼、義、仁、徳」などそれぞれに意味があります。

仲良くできない「礼」はそもそも「礼」ではないとも、孔子は説いているんです。

「過ぎた礼儀」もしかり、自分の常識を押し付けたりしていないか、立ち止まって、そもそも相手は喜んでいるのか、と考えてみるきっかけになります。

反対に、つい返事が遅れがちになってしまっても、「ありがとう」「ごめんね」と言葉にして行動に移すことも、仲良くするコツです。

お互いにちょうどいいところを考える。

これは高度な「経験や予想」が必要になりますが、そもそも相手がいてこその「仲良く」となりますよね。

「自分はダメだ」なんて弱気になってしまうときは、ぜひページをペラペラと開いてみてはいかがでしょうか。

どんなにスゴイ先人たちも、人間。

怒りや悲しみを経験しながら、この苦しみを言葉にしてしまったところに、「聖人」の凄さがあると思います。

四書五経に出てくる名言

①「和を貴しと為す」

現代でも有名な言葉ですが、「仲良くしましょう」ということです。

この言葉を使った有名な日本人としては、『聖徳太子』が挙げられますね。

『孔子』が現れてから約千年もあとの話で、今では『聖徳太子』が「お札」に載っていたのを知る人は、年配者と呼ばれる歳になってしまいました。

『十七条の憲法』に「一に曰く、和を以て貴しとなす。さかうることなきを宗(むね)とせよ」とあります。

千年も前に『聖徳太子』も『孔子』を学んでいたということは、平安時代のころから日本人とつながっていたことになるんです。

日本人は、どんな困難な状況になったときも、「仲良く助け合えばなんとかしのげるぞ」ということを、知っていた民族なのかもしれません。

「だれかの為に何かをすると、力がもらえる」「落ち込んでいる人を励ましたくなる」姿を見ると、日本人だなあと感じます。

②「切磋琢磨」

もととなった文は、「切るが如く磋(みが)くが如く、琢(う)つが如し磨(す)るが如し」。

相手をやっつけてしまいそうですが、そうではありません。

「切る」は小刀やのこぎりで切り出すこと、「磋」はやすりやかんなで削ること、「琢」はつちやのみで打ちたたくこと、「磨」は砂や小石ですり磨くことです。

「切磋」は骨角や象牙、「琢磨」は玉石に使い分けられ、「切・琢」は作る過程、「磋・磨」は仕上げの磨きをかけることを言います。

③「天の時は地の利に如かず」

「天の時」とは千載一遇のチャンス、「地の利」とは場所が大事だという言葉につづき、『地の利は人の和に如かず』とあります。

たとえチャンスに恵まれていても、いい場所にいても、「会社も家族も仲良くしていないと、いつかは潰れてしまう」ということですね。

目の前のことばかり気にしていると、周りから見放されてしまう可能性が出てきてしまいます。

四書五経は難しくない!

「まずは読んでみよう!」と、ページを開いて膨大な「原文」の並びを目にすると、はっきりいって疲れます。

でも大丈夫。

すでに民俗学レベルから「読む」作業が行われ、「読みくだし文」や「現代語の訳」も、すでに世に出回っています。

なのでぜひ「現代語訳」から読んでみましょう。

なんなら、あまり順番を気にせず「目にとまった」ことばに注目し、よくわからないものは飛ばして読んでみてもいいかもしれません。

だんだん大まかなまとまりに気づいて、作者の解説も「なるほど」と思えるようになります。

「子曰く、吾十五にして学を志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳従う。七十にして心の欲するところに従えども、矩(のり)をこえず」

ご存知の方もいるでしょうが、「よくこの一言にまとめあげたな」と、やはり「孔子」は凄いですね。

「立つ」・・・基礎がしっかりできたということです。
「惑わず」・・・他人の意見や目の前の財産や地位に惑わされないこと。
「天命」・・・天地の自然エネルギーに生かされていると。
「耳従う」・・・どんな意見でも、「ああ、そうだね」「そうなんだね」と寛大な心で納得できるということ。
「矩」・・・決まり事や、道理。定規や測りものにも使われました。

「論語」の言葉になりますが、『四書五経』は広くて深く、まだまだ全ての「本質」をここだけでは説明しきれないほど。

上記の書物から気になったものをピックアップし、読書にチャレンジしてみてください!

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