小学校や中学校で読書感想文の宿題が出されると、必ずぶち当たるのが「あらすじ」の書き方。
「本を読んでみた感想なんて知ったこっちゃねーよ!」っていう場合、"本の内容で文字を稼ぐ"のは非常に助かる戦法なんですよね。
ぼくの場合は夏休みギリギリまで放ったらかしで、明日までに提出しなきゃいけないって時に多用していました。
今にして思えば、ダメなやつの典型です(´・ω・`)
ブログをやっていて本の内容や感想を書く機会が増えてきたので、今回は「あらすじってどんな風に書けば良いんだろう?」ということについて、個人的に気をつけていることなどをまとめていきました!
あらすじと要約の違いは何?
あらすじと要約の違いについてですが、ストーリーをどれだけ削るかによって表現が変わってきます。
「あらすじ」は、物語の進行に沿って、全体的な内容を"道筋"表したもの。
「要約」はピンポイントに伝えるだけでいいので、物語を最後まで追っていく必要はありません。
文章の順序や表現を変えてしまってもいいのです。もととなる文章のポイントさえ入っていれば、簡潔に伝えることができるのが要約の良いところともいえます。
一方「あらすじ」の場合は、物語に合わせて書いていくため、時系列に沿う必要が出てきます。
要点だけを取り上げてしまうとグチャグチャになってしまいますから、そこまで重要ではない部分も取り入れながら書くことが望ましいとされているんですね。
そうなってくると物語を最後まで見ていく作業が必要不可欠なので、全体を見渡してから要所を取り上げる必要がでてきます。
つまり、より詳細に物語の内容に迫っているという点では、「あらすじ>要約」となるんです。
「要約」の例
例として、太宰治の『走れメロス』を取り上げてみましょう。
この物語で起きた出来事を簡単にまとめてみると、以下のようになります。
しかし、メロスは妹の結婚式に参列するため、王へ処刑を猶予させてくれと願う。
人間不信である王は、メロスの友人を人質に捕ることで願いを受け入れた。
メロスは妹の結婚式に参列した後、体力の限界まで走り続け、王のもとに帰って約束を果たしたのだった。
本当はもっといろいろあるんだろうな~とは感じられますが、これだけでも大体の流れはつかめると思います。
要約に限ったことではありませんが、起承転結がしっかり書かれているところがポイントです。
主人公は何をして、その結果どうなったのか?という『行動』の観点から見ていけば、約1万文字ある「走れメロス」はこんなにもコンパクトにまとまってしまいます。
「あらすじ」の例
上記の要約を、さらに詳細に見ていくと、こんな感じになります。
王を暗殺するために城へ乗り込んだものの、すぐに衛兵に捕縛。王のもとに引き出されたメロスは、「人間など私欲の塊だ、信じられぬ」と断言する王に対し、「人を疑うのは恥ずべきことだ」と反論したのだった。
これがきっかけとなり処刑される事になるが、メロスは妹の結婚式に出席しなくてはならない。そのため、親友のセリヌンティウスを人質として王のもとにとどめおくのを条件に、3日後の日没までの猶予を申し出た。
死ぬために再び戻って来るヤツはいないと考えるディオニス王。「セリヌンティウスを処刑して、人を信じる事の馬鹿らしさを証明してやる」との思惑から、メロスの願いを許した。
メロスは急いで村に帰り、誰にも真実を言わず妹の結婚式へ出席した。式を無事に終えたのは、3日目の朝である。
何もなければ王室まで走ってたどり着くことができる距離だったが、川の氾濫によって橋が無くなっていたり、山賊に襲われたりする悪運に見舞われた。心身ともに疲労したメロスは、セリヌンティウスを裏切って逃げてやろうかと考える。
しかし、休憩していた近くの岩の隙間から湧き出ている清水を飲み、疲労を回復させるとともに「義務遂行」の希望が生まれた。王を見返すため、自分を信じて疑わない友人の命を救うため、自分の命を捧げるために、再び走り出した。
体力の限界まで達するほどに走り続けたメロスは、セリヌンティウスが磔にされようとする日没直前に到着。約束を果たし、お互いに1度だけ裏切ろうとした事を告げて詫びたメロスやセリヌンティウスを見たディオニス王は、改心したのだった。
「要約」と比べてみると、かなり詳細に書かれていることが分かるかと思います。
本編を見なくても、例えば「水を飲んだことがきっかけで、メロスは立ち直ることができたのか……(詳しくは知らないけど)」といった感覚にはなりますよね(´・ω・`)
何のために動き、それでどうなったのか……という部分は要約と一緒ですが、そこに心理描写で肉付けされているのがポイントとなります。
スポンサーリンクあらすじのストーリーってどこまで書くべきなの?
あらすじのほうがより具体的に伝える必要があることが判明したので、ここからは「ストーリーはどこまで書けばいいのか?」ということについて掘り下げていきます。
① 物語が「動く」箇所を最優先に
あらすじを書く際に重要なのが、人でも物でも
ことにあります。
上でも書いたように、物語の"道筋"をうまく立てる必要があるので、『ここを外してしまったら意味不明になっちゃう!』ってところを見出さないといけないんです。
そのため、ぼくが物語をまとめる際は、要約をつけてからあらすじを書いていく方法をとるようにしています。
ただ、初見の文章だとどうしても「どこを削れば良いんだろう?」とか「ここ無くても大丈夫?」ってなるかもしれません。
そこでオススメなのが、物語と同時に箇条書きで"外的"な要点を書いていく方法。
・主人公の家に初めてヒロインが遊びにきた!
・これって事件の根本をゆるがす伏線じゃね?
というところなど、とりあえずでいいので"物理的に動く"部分に着目していくんです。
例えば、恋愛モノだと「初めてのハグ」や「ファーストキス」などの場面は、重要なシーンですよね。
ここは絶対に外すことができないので、そこに至るまでの過程(出会いや初デート、お泊りなど)を丁寧に紹介していく必要が出てきます。
それを放って「主人公の友達とのやり取り」などのどうでもいい日常シーンを盛り込んでしまうと、途端に長ったらしく感じてしまうんです。
なので、なるべく最初は身体的・物理的なところに焦点を合わせて、それ以外の部分はよほど重要でなければ削る、とすると良いかもしれません。
② 登場人物の「気持ち」を盛り込む
ある程度の削りが終わったら、重要なシーンにおける登場人物の「気持ち」を書いていくと、要約からあらすじへとつながっていきます。
上の恋愛モノの例であれば、主人公やヒロインが確実に心を動かされるシーンで放たれた"言葉"など、「気持ち」に当てはまりますね。
ぼくが過去に書いた「花のち晴れ」のあらすじ紹介の記事では、主人公・ハルトが生徒会長・天馬に放った「好きな女の言うこと信じなくてどーすんだよ」という言葉によって、ヒロイン・音(おと)が「ハルトは誰よりも私を信じてくれている……」と確信し、涙を流すシーンがありました。
ある人物の行動によって、物語の方向が変わったり進んだりする時には、身体的・物理的なものに加えて心理描写などで肉付けを行っていくと見栄えが良くなります。
スポンサーリンクあらすじで結末(ネタバレ)まで書くのはOK?
人によって様々だと思いますが、ぼくはあらすじでネタバレを書いてしまうのは場合によってはOKだと考えています。
なぜなら、あらすじを知りたい人の多くは結末までのストーリーを欲している可能性が高いからです。
ただ、ネタバレを書くなら、その作品やコンテンツを「どのような形で」楽しもうとしているのか?ということを頭に入れておかなくてはなりません。
一番わかりやすい例だと思うのが、小説を原作にしてドラマ化が決定した場合。
近年ではTwitterで話題になることが多いですから、ドラマが始まる前に、どうにかして小説の内容を知っておきたい!と考える人が増えてくるんです。
その中には、以下のような2つのケースがあります。
1.原作を少しでも知っている場合
・原作は全く知らないけど、長い文章を読んでまで知りたいとは思わない。
要するに、手っ取り早く要点だけを確認しておきたい!と思っている層。
「おさらいしたい」とか、前知識として「結局どうなるの?」とか「最後までに至る過程はどんな感じ?」っていうことだけは頭に入れておきたい場合には、ネタバレを含んでも大丈夫ってことです。
上記した「花のち晴れ」の例だと、こんな感じになります。
2.初見の感覚を楽しみたい場合
逆に、最初から物語がどう進むのかをワクワクしながら読み進めたい!と考える層には、ネタバレを含まない書き方が望ましいです。
具体的には小説の背面に書かれているような文章を目指して書いていくと、良いかと思われます。
例えば推理小説。
こういった「頭のなかで考えをまとめておく系」はネタバレ無しで読みたい人、結構いると思うんですよ。
これまで起きた様々な事件や伏線などを見返したいならまだしも、いきなり犯人はアイツ!と名指しで結論を書かれてしまうと、一気に楽しみが無くなってしまいますから。
(それで「え!なんでなんで!?」とポジティブに探れるのなら別ですけど……)
ぼくがぜひストーリーそのものを見てほしい!と思っている作品の1つに、シュタインズゲートがあります。
こんな感じに書いていくと、良いのかもしれないという例を書いてみました。
数々のタイムリープを繰り返し、苦難や悲哀を乗り越えてきた主人公・岡部倫太郎は、アメリカから留学していた天才ヒロイン・牧瀬紅莉栖の死を回避できないことを目の当たりにし、救出を諦めて失意の底にいながら大学生活を送っていた。
昔の厨二病のような性格もガラッと変わってしまい、物静かになって過去を忘れようと必死になりながら日々を過ごしていた彼は、大学のとある研究発表セミナーに顔を出す。
そこでプレゼンされた内容は、人間の記憶をデジタルデータ化して、コンピューター上で”別の意思を持った媒体”として画面上で動かす『Amadeus(アマデウス)』と呼ばれる革新的な技術だった。
その後、ひょんなことから『Amadeus』のテスターとなることになった倫太郎。
画面の中にいたのは、他でもない牧瀬紅莉栖の記憶データだった――
ゆうてこれも、別記事で最後まで書いちゃったんですけどね……(´・ω・`)
まとめ
物語を文章でまとめる場合、どういった点に注意するべきか?という部分について、個人的に気をつけているところをまとめていきました。
最後に要点だけを書いていくと、
②そこから、その行動に至るまでの「気持ち」などで文章へ肉付けしていく
という感じになりますね。
ただ、これはぼくが勝手に「やりやすいな~」と感じながら行っている方法でもあるので、人によっては肌に合わない可能性もあるかもしれません。
やり方の1つとして、参考になればと思います。